四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)をめぐる18日の松山地裁判決は、運転差し止めを求めた原告である住民の訴えを退ける内容となった。同様の訴訟は昨年3月に大分地裁、今月5日に広島地裁で判決があり、住民側が敗訴(いずれも控訴)した。判断の背景を、原発訴訟に詳しい元立命館大法科大学院教授の斎藤浩弁護士に聞いた。
- 伊方原発の運転差し止め認めず 松山地裁、住民側の訴え退ける判決
――一連の訴訟をどう評価するか。
被告である電力会社の主張をそのまま採用する結論になっている。一例を挙げると、原発の耐震設計で想定する最大の揺れ「基準地震動」についての広島地裁の判断だ。
原告は四国電力が策定した基準地震動を超える地震が過去20年間に国内で起きていることを踏まえ、「想定が過小だ」と訴えた。
しかし判決は「地域特性を検討することなく、過去の観測地点の数値と比較するだけでは過小と言うことはできない」と指摘。原子力規制委員会の審査ガイドに「適合している」と判断した時には「原告の指摘も踏まえた基準地震動が策定されたということができる」と被告の主張を全面的に認める内容となった。
今回の松山地裁判決でも、規制委の新規制基準について、社会通念であると判断した。基準に適合していれば、運転に問題はないという論理で結論が導かれていることが分かる。
――ほかに松山地裁判決で気になった部分は。
避難計画の実効性について、まず「重大な被害が生じる具体的危険があるとは認められない」と判断し、避難計画の合理性を検討するまでもないとした点だ。一連の訴訟では、原告の疑問や指摘に正面から答えない裁判所の姿勢があらわになった。
――こうした判断の背景は。伊方原発をめぐる訴訟では、2017、20両年に広島高裁が運転差し止めを命じる仮処分を出したこともあった(いずれも異議審で取り消し)。
大きく影響していると考えら…